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ご意見

2018/03/28 Wed 22:25

こんばんわ~へいぞです。

風邪をひいてしまって横になってます。バナナを無性に食べたくなって風邪をひくとバナナを食べる習慣があるのがなんとなくなるほどと思いました(笑)
「ヴァルキリーエイジ」を完結まで書こうとしてたんですけど息切れしたので息抜きにイラストを描いて設定をつけたら思いのほかその設定を気に入って、「ヴァルキリーエイジ」の続きを書こうかイラスト「決戦」の続きを描こうか悩んでます。参考までにどちらの方を先に見たいか匿名でかまわないので声を聞かせてもらえたらと思います(^^)
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決戦

2018/03/25 Sun 19:02

日本で女子プロボクシングを管理する団体は二つある。一つは全日本女子ボクシング連盟。もう一つが日本ボクシング連盟である。かつては日本ボクシング連盟は女子プロボクシングを認めてなく全日本女子ボクシング連盟が興行を行っていた。しかし、日本で女子ボクシングの興行が行われるようになり七年後に日本ボクシング連盟も女子のプロボクシングを認めるようになった。全日本女子ボクシング連盟の興行に参加していた多くの女子選手が日本ボクシング連盟に移り、全日本女子ボクシング連盟の興行が衰退していくようになる。しかし、日本ボクシング連盟の興行にも一つの問題があった。女子だけの興行が行われないことであった。女子選手だけで興行が行われる全日本女子ボクシング連盟に所属するか歴史と権威があり安定した日本ボクシング連盟に所属するかせ女子選手たちは選択が迫られることになる。
二つの女子ボクシングの興行が行われるようになり、二年。全日本女子ボクシング連盟の所属選手であり、興行のスター選手であった豊崎みかりはデビューからの連勝記録を11にまで伸ばし、WBCのフライ級ランキング一位に上り詰めた。ついに指名試合で世界チャンピオンと闘える権利を得たのである。団体創設時から苦戦が続いてた全日本女子ボクシング連盟の興行は日本ボクシング連盟が女子ボクシングのプロ化を認めたことでさらに観客が離れていき行き詰まりをみせていた。みかりの世界タイトルマッチの興行を行えばいつもより大きな会場で開催出来るしベルトを奪取出来れば話題を集め今後も観客を集める大きな強みとなる。全日本女子ボクシング連盟にとってみかりの世界タイトル奪取は団体を存続させるための最後の希望だった。だが、WBCは豊崎みかりの世界タイトルに異を唱えた。日本に女子プロボクシングを運営する協会が二つあるためである。WBCは協会が一つにならないと日本人選手の世界タイトル挑戦を認めない決定を下す。全日本女子ボクシング連盟と日本ボクシング連盟は話し合いの末に世界ランキング1位の豊崎みかりと世界ランキング7位の松田愛莉で試合を行い、勝った方を女子プロボクシングを管理する正式な団体とする旨の取り決めをした。
こうして、日本の女子プロボクシングの未来が託された運命の一戦が開かれることになった。
松田愛梨はかつて全日本女子ボクシング連盟の運営する興行に参加していた選手の一人。5勝1敗の戦績を残してたが、その一敗は日本タイトルマッチにおいて豊崎みかりに下されたものである。そうした経緯から豊崎みかりが有利と思われた試合は序盤から波乱に満ちた展開となった。第一Rから松田愛梨のアウトボクシングが豊崎みかりを圧倒したのである。日本ボクシング連盟の傘下であるボクシングジムに移籍した松田愛梨のボクシング技術は以前とは見違えるほどに上がっていた。松田愛梨が確実にダメージとポイントを取っていく中、第5Rに試合は大きく動いた。豊崎みかりが右のストレートで松田愛梨からダウンを奪ったのだ。


設定は以上になります。今回は大切なものを守るために闘う女神のような女性をテーマにしてイラストを描いてみました。一枚で終らすには惜しいかなっていう感じもするのでもしかしたら続気も描くかもしれません(^^)


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本日の更新

2018/03/10 Sat 23:44

こんばんば~、へいぞです。

「ヴァルキリーエイジ」第五話を掲載しました。今日の23時ごろに一度文章に修正を加えています。新章突入になります。

今日物凄く久しぶりに古本屋の「まんだらけ」に行ってみたんですけど、本がビニールの袋に包まれてて立ち読み出来ずがっかりして帰ってきました。幼いころは「まんだらけ」に行って、ボクシング漫画を立ち読みするのがすごい楽しみだったのになぁ(_ _)
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「Valkyrie age」第5話

2018/03/10 Sat 17:23

陸軍本部の建物を正面入り口から出た。誰もいない殺風景な光景の中、ユウは大きなバッグを右手に持ち敷地を歩いて正門へと向かう。門へ近づいていくと正門に一つの影が現れた。それはかつての上官の姿。
「出迎えるものが一人もいないと様にならんだろ」
エルダがサングラスを外して言った。ユウのむすっとした表情はほぐれくすっと笑う。
「経験者は語るですか」
「誰のせいでこうなったと思ってるんだ」
エルダは顔を反らす。
「ですよね。すみません、中佐」
ユウは頭を下げた。エルダは顔を反らしたまま黙ったままだ。
「責任は全部上官だった俺にある。だから責任を取って軍を辞めるのも俺一人でよかったんだ。そんな当たり前の理屈も通らない腐った組織だったんだよな俺たちがいたところは」
エルダは顔を反らしたまま言う。
「だからお前は何も気にすることはないんだ。そう伝えようと思って来たのにお前の軽口のせいでまた説教しちまった」
ユウはふふっと笑った。エルダがようやくこちらを見る。
「何がおかしい」
「中佐の小言を聞くのもこれが最後なのかって思って」

「ふざけたやつだ。それにもう一つだけ言わせてもらうがな
「何ですか?」

「俺はもう中佐じゃない」
「そうでしたね。エルマさんって言うのもなんだか違和感があって」

正門を出ると、エルマが指差した。その先には赤い色をした車高の低い車がある。
「車に乗っていくだろ。駅まで送るぞ」
ユウは指を鳴らして言った。
「喜んで」


車に乗ってエンジンがかかり走り始めると、
「これからどうするんだ?」
とエルマが言った。
「軍に入隊するまでお世話になっていたボクシングジムに戻ろうと思ってます」
エルマがユウの目を見つめる。
「世界チャンピオンを目指すっていう顔には見えんな」
「ええ、もう一度地球を代表する御前試合を目指すつもりです」

「強いな、お前の心は。お前はもう二度とリングに上がらないと思ってたんだがな」
「あたしももうリングに上がるのは止めようかなって思ったんですけど…」 
ユウは真剣な眼差しで言う。
「でも、コスモスの代表がキララだったから…このまま終わらせちゃいけないって思って」

「宿命というやつか」
「う~ん…」
ユウは顎を手で支えて唸る。
「運命かもしれません」

「今までいろんなボクサーを見てきたがな、キララ・チガサキ、奴の強さは別格だ」
エルマが続ける。
「いや、別次元と言っていい」

「そうですよね。パンチが一発も当たらないんだもん」

「薬を射してるのかとも思ったが体つきや表情を見るかぎりはそうはみえん。奴の強さの源が何か全くわからん」

エルマの言葉を聞いてユウは改めてキララの強さを認識した。キララになぜパンチが一発も当たらないのか。改めて考えても検討もつかない。

「中佐…エルマさんはこれからどうするんですか?」
「中佐でいい。俺も慣れん。どうせもう会うこともないだろう」

「分かりました中佐っ」
ユウは嫌味を込めて中佐のところだけ言葉を強めた。
「田舎で車の整備の仕事をしようと考えている」
ユウは意外な顔をする。
「潮時だと思ってな。ここらが異常な世界から普通の日常に戻れる最後の機会じゃないかってな」

「普通の日常…そういう選択もありますよね…」

「お前はまだ若い。満足いくまで闘うがいいさ」

「満足か…やっぱ勝ちたいですよ、負けたままじゃ終われない…」

「もう一度言うがキララ・チガサキの強さは別次元のものだ。隠居した身の俺にはお前にこんなことしか言えん」
ユウがエルマの顔を見つめる。しばらくしてエルマが続けた。
「勝てなくてもいい。無事に帰ってこい」
ユウは黙ったまま、窓の外に目をやる。何も思わないようにしていると、車のエンジン音がうるさく聞こえた。


七カ月が過ぎた。ユウはジムメートのサトルと共に陸軍の敷地に入り第二トレーニング施設へと向かった。この日はコスモスとの御前試合の地球代表を選考する大会の日。軍人四名とプロボクサー四名参加による計八名がトーナメント形式で闘い代表を選ぶ。もちろん、地球代表の切符を手に出来るのはトーナメント優勝者で、一日ですべての試合が行われる。前年度地球代表に選ばれたユウはその実績から今年もトーナメントのメンバーにプロボクサー代表として参加資格を手に入れた。

建物の中に入ったユウたちは受付で手続きを済ませ奥へと入っていく。更衣室へ向かおうとして、
「誰かと思えばユウ・アカシじゃない」
聞き覚えのある声が後ろからした。ユウは振り向く。青い軍服を着たウェーブがかかった金髪の女性の姿。
「よくあんなブザマな負け方をしてまた軍部に顔を出せたものね」
そう言って彼女は金色の髪先を右手で掻き上げた。
「何だお前失礼にもほどがあるだろ!!」
声を荒げて一歩前に出たサトルをユウは右腕を伸ばして止めた。ユウはぽんと右の握り拳で左の掌をぽんと叩いた。
「誰かと思えば去年の選考会でブザマにあたしにKO負けされたサーシャ・オーリンじゃない」
ユウはおどけて言うと、サーシャを強く睨み付ける。
「キララの強さが分かってないんだったらサーシャあんたこそ辞退した方がいいんじゃない」
サーシャは唇を吊り上げて笑う。
「分かってないのはあなたの方よ。軍部ではキララ・チガサキのボクシングを徹底して分析して攻略法を見つけ出したわ。その攻略プログラムに選ばれたのがこの私よ」

「ふ~ん」
ユウは白けた目をサーシャに向ける。
「攻略法を見つけたのはいいけどあたしに勝てないんじゃムダってやつでしょ」

サーシャは両肩をゆすりふふっと笑う。
「馬鹿ねぇ。軍を追放されたあなたがこの七か月間軍部で特別なトレーニングを受けた私に敵うとでも思ってるの」

「じゃああたしも言わせてもらうよ。プロボクサーを舐めるな」

「面白いじゃない。決勝まで勝ち上がってくることね。一回戦は海軍のカリナ・アリーナが相手よ。彼女も一年前とは比較にならないくらい強くなったわ」
そう言い残してサーシャは背を向けてこの場を離れていく。


「何だあいつ、プロボクサーを馬鹿にしやがって」
サトルが息巻いて言う。
「サーシャ・オーリン。海軍所属の軍人。父親も祖父も軍人の軍人一家。それでもって防衛大学首席で卒業の軍人エリート」

ユウは両手を首の後ろに当てて、「まぁ」と言って続けた。

「ボクシングじゃあいつに負けたことないけどね。去年の選考会も決勝でKOしてやった」


「恨み節ってやつか。じゃあキララの攻略法ってのもブラフかもしれねえな」

「ブラフね…」

「俺たちだってキララのボクシングの研究は十分にしてきた。それで出した答えはパンチをスピードをさらに上げていくだ。ボクシングの地力を上げていくのが一番ってな。攻略法なんてたいそうな言葉に振り回される必要なんてねえんだよな。なぁユウ」

ユウは黙って頷いた。シャツの袖をめくって手首にはめているパワーリストを見る。右手左手共に十キロの負荷。科学的なトレーニングが隆盛のこの時代であえて古典的なトレーニングを重ねてきた。それこそが最もボクシングの地力を上げるのに適したトレーニングだと思ったからだ。プロボクサーになってプロのリングにも上がった。世界ランカーと二試合闘ってどちらも早いRにKO勝利した。去年の御前試合の時より数段強くなった感触はある。でも、まだキララに勝てるとは思えない。御前試合までの四カ月でもっと強くなる必要がある。今日の選考会は自分の実力を試す良い機会だ。あれからどれだけ強くなったのかサーシャと闘えばわかる。キララ対策のトレーニングを積んできたと言ってるけど、キララのボクシングの恐ろしさを知っているのは実際に拳を交えたあたしだけ。そして、キララに勝つ可能性があるのもあたしだけだ。
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小説の更新

2018/03/07 Wed 23:33

こんばんば~、へいぞです。

「ヴァルキリーエイジ」第4話を掲載しました。今回が一区切りになる話になりますけど、物語は全部で15話前後を予定していて、まだまだ序盤が終わったばかりだったりします。三分の一も終わってないのですけど、今回の小説は一気に話を最後まで書いて完結させることを目標にしてるので、この後もががっと書いていきたいと思ってます。試合を書くとだいぶ疲弊してしまうので、途中で休止が入ってしまうかもしれないですけどそれでもできるかぎり話を進めていきたいと思ってます(^^)それと一話と三話に多少手をくわえています。ほとんど気付かないくらいの加筆ですけど、ちょっとでも読みやすさが増したらなと思って今後も掲載した話にちょこちょこ手を加えていくかもしれません。一回で満足いく話をかけたら理想ではあるんですけど(^^)
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「Valkyrie age」第4話

2018/03/07 Wed 01:24

パンチを打てばパンチを打たれる…

リング中央に大の字になって倒れているユウが天井を仰ぎながら半笑いの笑顔を浮かべる。目がとろんとし、力無く開いている口からはくわえているのも苦しそうにマウスピースが顔をのぞかせる。

セコンドの激しい叱咤の声、観客席から漏れる悲痛な叫び。リングに向かって飛ばされるそれらは恍惚とした表情で倒れているユウにとって窓の外からの音のようにしか聞こえてこない。

ユウの身体に数えきれないほど打ち込み、何度となくキャンバスに這わせたキララのカウンターパンチ。ぴくりとも身体が動けず朦朧とするユウの意識は身体だけじゃなく心にまでダメージを深く刻み込まれた彼女のパンチに囚われている。

パンチを打つたびに身体中に尋常じゃない衝撃が走った。自分のパンチのダメージがキララのパンチに合わさって返ってくる。ハードパンチャーのあたしのパンチの威力がさらに増して自分に打ち込まれる。それは身体が粉々に砕けるんじゃないかと思えるほどのダメージだった。
でも、辛いのはそれだけじゃない。パンチを打たなければカウンターを食らうことはない。でも、パンチを打たなければ試合に勝つことを放棄するようなもの。自分から攻めていってボロボロにされていく。まるで自分から破滅に向かって行っているかのような虚しさを味あわされた。そして、その虚しさはダウンを重ねるごとに増していく。

これで何度目だ…。
第1Rに一度、第2Rに一度、第3Rに二度、第4R・第5Rに一度、この第6Rに二度…。
八回もキャンバスの冷たい感触を味あわされているのかあたしは…。
軍人になってからボクシングのリングの上で味わったことのなかった悔しさをこの試合だけで八度も…。

プロボクシングの試合ならとっくに止めている。
でも、これは御前試合。

ここは地球。

地球に住んでいる人たちの威信がこの試合にはかかっているんだ。

止めるはずがない。

あたし次第なんだ。

立たなきゃ…。

負けるわけにはいかないんだった。

地球のためじゃない。

お父さんの為に…。
亡くなった父のためにあたしはここで負けるわけにはいかないんだ。

ユウはカウント9で立ち上がる。レフェリーは試合を続行させた。
キララが攻めてこないなら自分もそのままでいようと思った。
このRもう二度もダウンしている。次ダウンしたら強制的に試合終了だ。逃げ腰は嫌だけどなんとしてもこのRを凌がなきゃ。
キララはこれまで一度も自分からパンチを打ってきていない。あたしからパンチを打たないかぎりパンチを打ってこない。キララがこれまで同様の闘い方をしてくるならこのRを凌げる。来るな、来ないでくれ。
朦朧とした意識の中でユウは懇願する。

しかし、その願いすらも適うことはなかった。

キララは攻めてきた。全速力のダッシュで。

突き放さなきゃ左ジャブで。
ユウはパンチを打とうとするものの金縛りにあったように身体が硬直して動かない。
カウンターパンチを打ち込まれた時の凄まじい衝撃の数々が甦り、ユウの心を恐怖心が拘束する。
もうイヤだと心の中で呟いた。
パンチを打つのがイヤ。もうパンチを打ちたくない…。

パンチを打てばパンチを打ち込まれるから…。

本能が己の身体を守ろうとする。
でも――――。

ユウは知っている。

パンチを打たなきゃもっと打たれるだけなのを。

次の瞬間、ユウはリングの上の鉄の掟を身をもって味わった。

キララのパンチの猛攻になすすべもなく滅多打ちを浴びるユウ。
ロープに追い詰められ一方的にパンチを浴び続けるその姿はキララのサンドバッグにしか映らず、二人の試合の勝敗は決したも同然だった。

早く試合を止めるべきだ。

地球側の人間が多くを占めている観客席でさえも誰もがそう願うほどの一方的な惨劇。

しかし、試合は終わらない。

レフェリーは止める素振りすら見せない。
その不可解な振る舞いに場内は一段とざわめいた。

八万人を超える大観衆が見つめる中で無力にも殴られ続けるユウ。目から輝きは消え失せ人形のように覇気のない表情をする顔からは血や汗、唾液といったあらゆる液体が殴られるたびに飛び散っていく。

キララが距離を詰めパンチを打ち込んでいく。さらに激しさが増すキララのラッシュ。ロープとキララに挟まれ、密着した距離で強烈なパンチを打たれゆく中でユウは、キララの存在をこれまで以上に意識した。
キララに負けたくない…。
ずっとあった意地は触れ合った肌から伝わってくるキララの体温を感じるにつれ、彼女を一人のボクサーとして認識して薄れていき、自分よりも遥かに強くなったことをユウは受け入れた。

あたしの負けだ…
キララ、あんたの勝ちだよ…
だからもう…

ユウは心の中で願う。届くわけないのに…どんなに二人の身体が密着していても声に出さなきゃ届くはずないのに…。

朦朧とする意識がさらにおぼろげになり消えていこうとする。

次の瞬間、パンチの雨が止まった。

パンチを打つのを止めたキララが踵を返し、ユウの元から離れていく。

「キララ・チガサキ、まだ試合は終わってないぞ…」
レフェリーが動揺した声で注意するものの、キララはかまわず歩を進める。その先にあるのは青コーナー。自分のセコンドの元。

レフェリーは戸惑った表情でキララにまた何か言おうとしたものの、すぐにユウに視線を移した。ユウの異変に気付いたからだ。

「うぅぅっ…」

ファイティングポーズを取り続けたままでいるユウ。しかし、目は白目を向き、唇が細く尖る口からは唾液にまみれたマウスピースが半分はみ出ている。上半身はぷるぷると小刻みに震え、もはや闘えるような状態でないのは誰が見ても一目瞭然の姿だった。呻き声を漏らすユウの上半身の痙攣が一段と激しさを増す。

「ぶえぇぇっ!!」

ユウが口を大きく開けマウスピースを吐き出した。それと同時に両腕がだらりと下がり、糸の切れたマリオネットの人形のように前のめりに崩れ落ちていく。

ユウが顔面からキャンバスに倒れた。

レフェリーが両腕を交差して試合を止める。試合終了のゴングが打ち鳴らされた。

青コーナーに戻ったキララはセコンドの男から手を肩に置かれる。セコンドの男は地球に初めて勝ったというのに浮かれる様子もなく「よくやった」と淡々とした口調で声をかけた。
キララは「はい」と簡単に返事を済ましてユウを見た。キャンバスに倒れたまま動けずにセコンドに介抱されているユウを寂しげな表情で見つめる。
「辛かったよねユウちゃん。ごめんね早く倒せなくて」

キララの小さな声は倒れたままのユウに届かない。そして、勝者となったキララがユウに声をかけることはなかった。青コーナー陣営は自軍のコーナー付近で静かに敗者の動向を見続け、赤コーナー陣営は慌ただしく意識を失ったままのユウを担架に乗せリングを降りていった。

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