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近況など

2017/03/30 Thu 23:13

こんばんわ~へいぞです。
今回は小説「あに―いもうと」の第1話を掲載しました。連載中の「おさぼく2」の第3話を載せたいところですけど、続きの方に気持ちがなかなか向かわないので、ふと浮かんできた物語を並行して描くことにしました。「おさぼく」だけでなくこちらの作品も楽しんでもらたらと思います(^^)それと、タイトルと登場人物の名前は変更するかもしれません。即興でつけたものなので。

対戦格闘ゲームであるThe king of fighters 14ですけど、ダウンロード追加キャラクターでボクシングを使う女性キャラのヴァネッサが参戦することになりました。今作でこれまでのドット絵から3Dになって色っぽさも動きのリアルさも格段に上がっているようにみえます。3Dだと女性キャラの可愛らしさが失われることもありますけど、ヴァネッサは出来が良くてとても美しく作られているのでうれしいです(^^)
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 お兄ちゃんは一人しかいない。そりゃそうだ。でも、それはとても深刻な問題に結びつく。お兄ちゃんはあたしのトレーナーであって美羽のトレーナーでもある。そして、次の試合の対戦相手は美羽になるのかもしれないのだ。もしそうなったらお兄ちゃんはあたしと美羽のどっちのセコンドに付く?妹のあたしにつくのが情というものだと思うけれど、美羽には…。
 長椅子に座って両手で頬杖をつきながら思いを巡らせていると、頭に影がかかってきた。亜衣は顔を上げる。
「お兄ちゃん…」
「何してんだ。もう練習終わったんだろ」
 兄のタクロウは立ったままでいる。
「考えごと」
 亜衣は頬杖をついたままタクロウから目を反らして言った。
「おいおい、ここはボクシングジムだぜ。考えごとなら家に帰ってからにしろよ」
 タクロウは呆れ気味に両の掌を天に向けた。
「いいの。ボクシングのことだから」
「なんだ、ボクシングのことか。だったら俺に相談しろよ。水臭ぇじゃねえか。俺は亜衣のトレーナーだろ」
 タクロウは親指を立てて自分に指す。
「プライベートなことだから」
「ボクシングにプライベートもねぇだろ」
 タクロウは、ははっと笑みを浮かべながら言う。
 それがあるんだよお兄ちゃん。亜衣は依然としてタクロウの顔を見ずに心の中で呟いた。
「タクロ~、美羽のスパーが始まるからこっちに来てくれ~」
 会長がリングのある方から声をかけてきた。
「うっす」
 タクロウは会長の方を見て返事するとこちらを向いて、
「気が向いたらいつでも言えよ。俺はお前の兄でもあるんだからよ」
 そう言い残してリングに向かって行った。
 亜衣もリングに目を向けると、美羽とスパーリング相手の女子選手がお互いコーナーに立って備えていた。美羽のスパーリングの相手はわざわざ他のジムから呼び寄せた選手だ。美羽の次の試合の相手がサウスポーということで会長が用意したのだ。まだ四回戦クラスで女子としては異例なことだ。それだけジムが美羽に期待をかけているっていうこと。
 高校生でありながらアマチュアの大会である全日本選手権を優勝した実績を残して美羽は一年前にジムに入門してきた。これまでプロのリングで三戦三勝三KO。アマチュアでの輝かしい実績に見劣りしない立派な結果を残している。そして、次の新人王トーナメント準決勝の試合に勝てば亜衣の対戦相手になる。
 ――――あたしはトレーナーになってくれたお兄ちゃんと一緒にチャンピオンになりたくてボクシングを続けてきた。でも、その夢を適えるには美羽を超えなきゃいけない。そのためにもお兄ちゃんがあたしのセコンドについてくれないと…。
 リングからは美羽のパンチの乾いた音だけが間隔が開くことなく聞こえてくる。亜衣は立ち上がりリングからはもう目を向けずにシャワー室へ向かった。
小説・あに―いもうと | コメント(0)

「おさぼく2」第2話

2017/03/20 Mon 15:15

 家に着くと遥花は駆け早に階段を昇った。二階の自分の部屋に入り呆然と立ち尽くしていると、小さなタンスの上に置いてあった赤いボクシンググローブが目に入った。遥花は手にしてゴミ箱に捨てた。それから押し入れの戸を開けて、しまっていた試合用の赤いスポーツブラと白いトランクスを出してそれもゴミ箱に捨てた。
「もう必要ないから…」
 遥花は自分に言い聞かせるように小声で言い、今度は机の引き出しにしまっていたバンテージもすべて処分した。他にもうないかと引き出しの中を探っていると、一本のビデオテープを発見した。それは遥花の試合の映像が入っているビデオだ。それも手にしてゴミ箱に捨てようとしたけれど、入れる直前で手が止まった。ビデオテープを弱々しげな目でじっくりと見続ける。テレビの前まで行きビデオテープをビデオデッキに入れた。
 テレビ画面に映し出される自分の姿。上下白で統一したコスチュームを着ていてリングの青コーナーで試合が開始されるのを待っている。デビュー戦の映像だ。
 遠くからの映像で表情は分からないけれど、この時はとても緊張していた。
 遥花は胡坐をかいて改めて画面を見る。
 試合開始のゴングが鳴った。しばらく様子を見合ってから一気に間合いを縮めた。フックを連続して放つ。何も考えずに振り回しているだけなのにパンチが面白いように当たっていく。
「雑なボクシング…」
 遥花はぼそっと呟いた。
 あたし、何でプロボクサーになったんだろう…。
 大山さんに褒められたから?それともヨウちゃんに良いところを見せたかったから?
 頭の中で浮かび上がる幼いヨウジを体を張って守る自分の姿。
 そうだ、あたしは自分が強いのか知りたかったんだ…。
 二戦二勝。どちらもKO勝利。リングに上がるたびに自分は強いと思うようになった。でも、そんなことはなかった。穂乃花にいいところなくKO負けした。男の子と喧嘩して負けたことがなかったあたしが同年齢の女子に負けるなんて思いもしてなかった。
「自惚れてたのはあたしの方だ…」
 遥花はぽつりと漏らした。
 沸き起こるような歓声が画面から聞こえた。対戦相手がキャンバスに倒れていて試合が止められている。大山さんに抱きつく自分の姿を見て、無邪気に喜んでいるのが伝わってくる。
 ヨウジがボクシングを始めたから自分もボクシングを始めた。ヨウジだけが強くなっていくのがさみしかったのだと思う。でも、ジムに通い続けているうちにボクシングが好きになっていった。プロのリングに上がって試合に勝って観客から拍手を浴びて満たされていくのを感じて、好きから大好きになった。
「大好きだからこんなにつらいのかな…」
 遥花は胸を押さえて涙を流しながら画面に映る自分を見続けた。

 太陽が昇り始め、スズメの鳴き声が聞こえる住宅街の道を遥花は走る。同じようにフードがついたスポーツウェアを着て走っている若い男の背中を見つけ、スピードを上げた。男の横に立った遥花は顔を向ける。
「走るの遅すぎるんじゃない」
 ヨウジが目を見開いてこちらを見る。ややあって、また視線を前に移していつもの仏頂面に戻った。
「ボクシングはもう止めたんじゃなかったのかよ」
 遥花はヨウジの顔を見続けて笑みを浮かべる。
「昨日は昨日のあたし。今日は今日のあたし」
「何だよそれっ」
 ヨウジは呆れ気味に言ったけど、
「まぁ、昨日の遥花より今日の遥花の方が良いけど」
 と続けた。
「えっなに?聞こえない」
 遥花はムフフっと笑みを浮かべる。ヨウジがこちらを見た。
「おまえっ、わざと言ってんだろ」
 遥花はヨウジの背中を左手で叩いた。ヨウジがその場に座り込み、「いってぇ」と言って前に出た遥花を見る。遥花はその場で足を上げ続けながら言った。
「昨日のお礼だよ」
 ヨウジは何か言いたそうにしかまった顔で遥花を見続ける。遥花は晴れ晴れとした顔をみせる。
「ありがとう」
 そう言って、遥花はヨウジを置いて再び前へ走り出した。
小説・おさぼく2 | コメント(0)
このサイトに来ている人ならもう見ているとは思いますけど、プリン体さんが「希望はリングにある」のイラストを描いてくれました。何枚も描かれていて力作です。プリン体さん、ありがとうございます(^^)

プリン体さんの「希望はリングにある」のイラストが見られるアドレスを貼っておきますね。
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=61881547
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本日の更新

2017/03/18 Sat 19:05

こんばんわ~へいぞです。

久々の更新となりました。
「おさぼく」の続編です。前作から5年が経った今なぜ続編を書き始めたかというと、おさぼくの続きを小説で書いてくれた人がいて、こんなにこの作品を気に入ってくれている人がいるんだと嬉しくなって遥花の物語の続きを書いてみたいと思うようになったんです。きっかけを作っていただいた方にはとても感謝しています(^^)



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「おさぼく2」第1話

2017/03/18 Sat 19:02

 夕暮れが終わる頃、遥花は目的の場所に足を踏み入れた。
 そこは遥花にとって思い入れのある場所。家から五分の距離にある川上公園。小学生の頃はここでよく遊んだ。ヨウジがいつもいて他にその時その時で違うクラスメートの男子が二、三人。そして、女子は遥花だけ。
 体格が良くてガキ大将みたいな存在だったリョウヤという男子がいて、彼がいると必ず遊びのリーダーシップを取っていた。ヨウジははっきりしなくてぼそぼそ話すからよくリョウヤから馬鹿にされてたけど、そんな時遥花はいつも代わりに言い返していた。時には取っ組み合いの喧嘩にも発展したけれど、痣ができたって平気だった。
 こうして公園にいると、あの頃が懐かしくなって、あの日々に戻りたい思いになる。あの頃はまだヨウジも鬱陶しそうにせず接してくれていた。
 遥花はベンチに腰掛けた。周りには誰の姿いない。公園の時計の針は五時十五分を指していた。
 物音がして、公園の入り口の方に顔を向けた。お目当ての人物の姿を確認して、遥花は意地悪そうに頬を緩ませた。
「珍しいね。ヨウちゃんから呼び出すなんて」
 ヨウジは座らずに立ち続けている。
「一か月、ジムに来ねえから」
 ヨウジはぶっきらぼうに言った。見上げていた遥花は目を瞑り顔を背けて言った。
「なぁんだ。やっぱりそのことなんだ」
「そのことってなんだよ、大事なことだろ」
 ヨウジは声を大きくして言った。遥花は再び意地悪な笑みを浮かべる。
「心配してくれてるんだ」
 ヨウジが目を背ける。
「別に…。大山さんが遥花はどうしたってうるせぇから…」
 遥花は両手を使ってベンチから立ち上がり、右に二、三歩進んで背を向けて言った。
「あたし…ジムにはもう行かないかも」
「なんだそれっ、ボクシングを止めるってことか」
 ヨウジが声を荒げた。遥花はまたヨウジの顔を見ないまま、
「別にどうだっていいでしょ。ヨウちゃん、あたしがジムにいると嫌な顔してるんだし」
 と言った。数秒経っても返事が来ずヨウジを見ると、口を真一文字に結んで地面を見つめていた。
「やっぱりそうだったんだな…」
「何がよっ」
 含みのあるヨウジの言い回しに遥花はむっとした顔をする。
「俺がボクシングを始めたから遥花もボクシングを始めた。沢村が言ってた。だから、そんなあっさりとボクシングを止められるんだろ」
 遥花は表情を無くした。目を反らし、
「自惚れないでよ」
 そう言うと、その場から駆けるように出て行った。
 イヤだ…。穂乃花に負けて以来、イヤなことばかりだ。ボクシングのことを考えるだけで辛くなって、ヨウちゃんからは気持ち見透かされて…。
 目に溜まる涙が零れ落ちないよう必死に耐えながら、遥花は走り続けた。
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